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現場の熱中症対策、朝から終業まで何を確認する?

熱中症対策というと、 水分補給や休憩を思い浮かべることが多いと思います。

もちろん、それも重要です。

しかし実際の現場では、 暑くなってから対策を始めるのではなく、 朝の作業開始前から終業まで、 その時点で何を確認するか を決めておくことが重要です。

ここでは、当協会の 「熱中症予防教育」テキストと、 厚生労働省の令和8年(2026年) 「職場における熱中症防止のためのガイドライン」をもとに、 現場の一日を追いながら確認してみます。

朝一番――まず今日の暑さを確認する

作業を始める前に、 まず確認したいのが その日のWBGT(暑さ指数)です。

天気予報や環境省のWBGT予測値を見ることで、 その日どの程度暑くなる可能性があるのかを 事前に把握できます。

ただし、 地域の予測値と実際の作業場所では、 直射日光、照り返し、風通し、熱源などの条件が違います。

そのため、 実際の作業場所のWBGTも把握し、 作業内容に応じたWBGT基準値と比較します。

今日のWBGT予測を確認
↓
実際の作業場所のWBGTを把握
↓
今日の作業計画を確認・調整

▶ 環境省「熱中症予防情報サイト」で暑さ指数を見る

朝礼――「元気です」だけで終わらせない

同じ作業場所で働いていても、 熱中症になりやすさは一人ひとり違います。

厚生労働省のガイドラインでは、 作業開始前に 当日の健康状態と暑熱順化の状況 を確認することとしています。

朝に確認すること 見るポイント
睡眠 睡眠不足ではないか
朝食 朝食を摂っているか
前日の飲酒 多量の飲酒がなかったか
今日の体調 発熱、下痢、だるさなど、 普段と違う状態がないか
暑熱順化 暑い場所での作業に身体が慣れているか
特に「入職後1週間未満」と 「4日以上暑熱作業から離れた人」を見る。

厚生労働省のガイドラインでは、 入職後1週間未満の作業従事者や、 夏季休暇等で熱へのばく露から4日以上離れていた作業従事者について、 巡視の頻度を増やすなど、 作業中や作業終了時の健康状態に特に配慮することとしています。

暑熱順化は、一度慣れれば終わりではない

暑熱順化とは、 身体を徐々に暑さへ慣らしていくことです。

厚生労働省のガイドラインでは、 暑さに慣れていない状態から 7日以上かけて徐々に暑熱環境へのばく露を増やす 方法が示されています。

また、 暑熱環境から離れると、 4日後には暑熱順化の顕著な喪失が始まる とされています。

新規入職・暑熱作業を始めたばかり
↓
夏季休暇・長期休暇明け
↓
暑熱順化の状況を特に確認

暑さに慣れていない人には、 作業時間を短くしたり、 負担の小さい作業から始めたり、 休憩を多くするなどの配慮を行います。

作業前――休憩場所と飲み物は使える状態?

「熱中症になったら休憩所へ行く」 と決めていても、 その休憩所が遠かったり、 冷却用品がなかったりすれば 十分に機能しません。

作業を始める前に、 実際にその日使える状態になっているか を確認します。

確認するもの 確認
作業場所の近くに涼しい休憩場所がある □
飲料水やスポーツドリンク等を用意している □
氷、冷却材、冷たいおしぼり等を使用できる □
送風・冷房等が正常に使える □
体調不良者を横にして休ませられる場所がある □

作業開始前に「異常時の手順」も確認する

熱中症対策では、 予防だけでなく 誰かの体調がおかしくなった場合の対応も 作業前に確認しておきます。

令和7年(2025年)6月から、 一定の暑熱環境下で長時間行う作業については、 熱中症のおそれがある人を発見した場合の 報告体制と対応手順をあらかじめ定め、 関係作業者へ周知することが義務付けられています。

誰に報告する?
+
どこで身体を冷やす?
+
119番・搬送先は?
↓
作業開始前に共有

▶ 熱中症らしい人が出た。その次に何をする?

作業中――WBGTは朝の数字のままではない

朝にWBGTを確認したからといって、 一日その数字のままとは限りません。

日差しや気温、 風、作業場所などが変われば、 作業中のWBGTも変化します。

そのため、 作業中もWBGTを把握し、 必要に応じて作業計画を見直します。

WBGTを把握
↓
基準値と比較
↓
休憩・作業時間・作業場所を見直す
↓
必要なら作業を中止
朝決めた作業計画を、そのまま最後まで守る必要はありません。

暑熱環境が変われば、 作業時間や休憩時間、 作業場所そのものを変更します。

WBGT基準値を大幅に超えたら?

厚生労働省の2026年ガイドラインでは、 測定したWBGTが WBGT基準値を大幅に超える場合には、 原則として作業を行わない こととしています。

やむを得ず作業を行う場合には、 単独作業を控え、 休憩時間を長めに設定するなど、 より慎重な管理が必要です。

「予定どおり終わらせる」より、作業条件を見直す

WBGTは記録するためだけの数字ではありません。
測った結果によって、 実際に作業のやり方を変えるために使います。

水分・塩分は「喉が渇いた人だけ」ではない

熱中症対策では、 自覚症状の有無にかかわらず、 作業前後と作業中に 水分・塩分を定期的に摂取します。

「喉が渇いたから飲む」 だけではなく、 決めたタイミングで摂取できているかを確認します。

また、 管理者による巡視などで 実際に水分・塩分を摂っているか を確認することも重要です。

作業前
+
作業中に定期的に
+
作業後

なお、 水分や塩分等の摂取について制限を受けている人は、 主治医や産業医等の指示を踏まえて対応します。

休憩は「時間」だけでなく「場所」も見る

同じ10分休む場合でも、 炎天下に近い場所に座っているのと、 冷房や日陰のある涼しい場所で身体を冷やすのとでは 意味が違います。

休憩時には、 可能な範囲で暑熱環境から離れ、 身体から熱を逃がすことも考えます。

休憩時 確認すること
場所 日陰・冷房等のある涼しい場所か
身体 十分に身体を冷やせているか
水分・塩分 定期的に補給できているか
体調 めまい、頭痛、吐き気、強い疲労感などがないか

巡視――「倒れていないか」だけを見ない

作業中の巡視では、 熱中症の人が倒れていないかを見るだけではありません。

声をかけ、 普段と違う様子がないか を確認します。

巡視で見ること 確認
水分・塩分を摂れているか □
顔色や受け答えに変化がないか □
ふらつきや動きの変化がないか □
強い疲労感や体調不良を訴えていないか □
暑熱順化が不十分な人に無理がないか □

複数人で作業している場合には、 作業者同士でも互いの健康状態に注意 します。

「なんとなく変だ」を見逃さない

熱中症は、 突然倒れるところから始まるとは限りません。

例えば、

・いつもより返事が少ない
・動きが遅くなった
・ふらついている
・休憩しても疲れが取れない
・頭痛や吐き気を訴えている

といった変化から始まることがあります。

少しでも異常を感じたら、 いったん作業から離して状態を確認します。

午後――朝より条件が厳しくなっていないか

朝は問題がなかった現場でも、 時間がたつにつれて 暑熱環境が厳しくなる場合があります。

そのため午後も、

WBGT
+
作業者の疲労・体調
+
水分・塩分の摂取状況
+
残りの作業量

を改めて確認し、 必要であれば 作業時間の短縮、作業内容の変更、 休憩の追加、作業中止 を判断します。

「あと少しだから」は、 暑熱環境を変えてくれません。

午前中に問題がなかったことを理由にせず、 その時点のWBGTと作業者の状態から判断します。

終業時――現場を離れれば終わりではない

一日の作業が終わったら、 最後に作業者の状態を確認します。

水分を補給し、 体調に異常がないかを確認します。

そして、2026年の厚生労働省ガイドラインでは、 熱中症予防を担当する管理者等の役割として、 退勤後に体調が悪化する可能性について 注意喚起すること も示されています。

作業終了
↓
水分補給・体調確認
↓
帰宅後の体調悪化にも注意

帰宅途中や帰宅後に、 頭痛、吐き気、強い倦怠感などが出た場合にも、 「仕事は終わったから関係ない」と考えず、 必要に応じて医療機関への相談や受診につなげます。

一日の流れで見るとこうなる

朝 WBGT・天候を確認
↓
朝礼 体調・暑熱順化を確認
↓
作業前 休憩場所・水分・緊急手順を確認
↓
作業中 WBGT・水分・体調を確認
↓
午後 作業計画をもう一度見直す
↓
終業 体調確認・帰宅後にも注意

現場で一日分を確認してみる

時間 確認してみること 確認
朝 WBGT予測と実際の作業場所のWBGTを確認した □
朝礼 睡眠、朝食、飲酒、体調、暑熱順化の状況を確認した □
作業前 休憩場所、飲料、冷却用品を確認した □
作業前 体調不良者が出た場合の報告先と対応手順を確認した □
作業中 定期的に水分・塩分を摂取できているか確認した □
作業中 巡視・声かけで作業者の健康状態を確認した □
午後 WBGTや疲労の状況に合わせて作業計画を見直した □
終業 作業者の体調を確認し、帰宅後の悪化にも注意するよう伝えた □

熱中症対策は、 「暑くなったら水を飲む」という一つの行動ではありません。

朝のWBGTと体調確認から始まり、 作業中の巡視や休憩、 その日の状況に応じた作業計画の変更、 そして終業時の体調確認まで、 一日を通して繰り返し確認するものです。

講習テキストでも確認できます

当協会の 「熱中症予防教育」テキストでは、 作業時間、暑熱順化、 水分・塩分の摂取、 服装、作業中の巡視について解説しています。

▶ 熱中症の「作業管理」を見る

作業開始前の健康状態、 睡眠不足、朝食、暑熱作業中の健康状態の確認については、 健康管理の章でも確認できます。

▶ 熱中症の「健康管理」を見る

緊急時に備えた連絡体制についても、 講習テキストで解説しています。

▶ 緊急連絡網の作成・周知を見る

当協会では、 厚生労働省の令和8年ガイドラインに対応した 「職場における熱中症の予防」も公開しています。

▶ 職場における熱中症の予防(令和8年)を見る

▶ 厚生労働省「職場における熱中症予防情報」を見る


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