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熱中症らしい人が出た。その次に何をする?

暑い日の作業中、 同僚が「ちょっと気分が悪い」と言った。

顔色がおかしい。 ふらついている。 いつもと受け答えが違う。

そんなとき、 「とりあえず休ませて様子を見る」だけでよいのでしょうか。

熱中症は、 初めは軽そうに見えても 急に状態が悪化することがあります。

ここでは、当協会の 「熱中症予防教育」テキストと 厚生労働省の最新資料をもとに、 熱中症が疑われる人を見つけた直後に何をするか を順番に確認してみます。

最初にするのは「作業をやめさせる」

熱中症が疑われる症状が見られたら、 そのまま作業を続けさせません。

まず作業から離脱させ、 エアコンの効いた室内や 風通しのよい日陰など、涼しい場所へ移します。

そして重要なのが、 体調が悪くなった人を一人にしない ことです。

熱中症らしい症状に気づく
↓
すぐに作業をやめさせる
↓
涼しい場所へ移す
↓
一人にしない
本人が「大丈夫」と言っていても、 一人で休ませない。

熱中症では、 休んでいる間に容態が急変することがあります。
必ず誰かが付き添って状態を確認します。

どんな症状なら熱中症を疑う?

熱中症では、 次のような症状が現れることがあります。

症状 例
比較的初期に見られる症状 めまい、立ちくらみ、大量の発汗、 筋肉痛、こむら返り、気分が悪い、ふらつきなど
さらに注意が必要な症状 頭痛、吐き気、嘔吐、 強い倦怠感、判断力の低下など
重い症状 返事がおかしい、意識がない、 けいれん、身体が非常に熱いなど

本人が「熱中症です」と申告するとは限りません。

「いつもと違う」 「返事がおかしい」 「まっすぐ歩けない」 といった周囲から見た変化も重要です。

次に「意識」を確認する

涼しい場所へ移したら、 受け答えが正常にできるか確認します。

例えば、 名前、現在いる場所、 今日の日付などを尋ねて、 きちんと答えられるかを見ます。

呼びかけに応じない、 返事がおかしい、 質問に正しく答えられない場合は、 「意識がおかしい」と考えます。

呼びかけて意識を確認
↓
受け答えが正常
/
返事がおかしい
意識がない
返事がおかしい・意識がないなら、すぐ119番。

「少し休めば戻るかもしれない」と待たず、 救急隊を要請します。

意識があっても「頭痛・吐き気」なら軽く見ない

意識がはっきりしているからといって、 必ず軽症とは限りません。

厚生労働省の2026年の資料では、 頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害、高体温など Ⅱ度以上の症状が見られた場合には、 躊躇せず救急車を呼ぶ ことが示されています。

めまいだけではなく
↓
頭痛
吐き気・嘔吐
意識がおかしい
高体温
↓
ためらわず救急要請

身体を冷やす

救急車を呼ぶかどうかにかかわらず、 涼しい場所へ移したら 身体の冷却を始めます。

衣服をゆるめたり、 必要に応じて脱がせたりして、 身体から熱を逃がします。

首の周り、 脇の下、 足の付け根などを冷やす方法もあります。

冷却方法 例
涼しい環境へ移す 冷房の効いた室内、 風通しのよい日陰など
衣服をゆるめる 身体から熱を逃がしやすくする
水と風で冷やす 身体を水で濡らし、 扇風機や送風で冷却する
冷却材を使う 首、脇の下、足の付け根などを冷やす
重い症状がある場合は、全身を速やかに冷やす

重症が疑われる場合には、 首や脇の下などを冷やすだけでなく、 作業着を脱がせて身体に水をかけ、 扇風機やミストファン等で風を当てるなど、 可能な方法で全身の冷却を速やかに行います。
救急隊が到着するまで冷却を続けます。

重症が疑われる場合には、 救急隊の到着を待っている間も、 可能な方法で できるだけ速やかな身体冷却 を続けます。

119番したら、そこで待つだけではない

救急車が到着するまでの時間も重要です。
涼しい場所へ移し、 一人にせず、 身体を冷やしながら状態を確認します。

水分を飲ませてもよい?

意識がはっきりしていて、 本人が自分で安全に飲める場合には、 水分・塩分や経口補水液などを補給します。

しかし、 自力で水分を摂取できない場合には、 無理に飲ませません。

意識がもうろうとしている人などに 無理に飲ませると、 誤って気管へ入るおそれがあります。

意識ははっきりしているか
↓
自分で安全に飲めるか
↓
飲める
水分・塩分を補給
/
飲めない
無理に飲ませず救急要請

厚生労働省も、 自力で水分がとれない場合は直ちに救急隊を要請 するよう示しています。

「少し良くなった」だけで一人にしない

涼しい場所で休み、 水分を摂ったことで、 本人が「もう大丈夫です」と言うことがあります。

しかし、 熱中症では一度症状が軽くなったように見えても、 再び悪化する可能性があります。

そのため、 回復したように見えても、 しばらくは付き添って状態を確認します。

症状が改善しない場合、 再び悪化した場合、 判断に迷う場合には、 医療機関や救急隊など専門機関へ相談します。

「休ませておいたから大丈夫」で終わらせない。

容態が変わらないか確認できる人を付け、 悪化したときすぐ次の対応へ移れるようにします。

2025年から「その場で考える」では足りなくなった

令和7年(2025年)6月1日から、 職場の熱中症対策について 労働安全衛生規則が改正されました。

対象となるのは、

WBGT 28℃以上
または
気温31℃以上
の環境で
継続して1時間以上
または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業

こうした作業では、 熱中症の自覚症状がある人や、 熱中症のおそれがある人を見つけた人が 誰に報告するのかをあらかじめ決め、 関係作業者に周知する必要があります。

さらに、

作業から離脱させる 身体を冷却する
必要に応じて医師の診察・処置を受けさせる 緊急連絡先・搬送先を確認する

といった 症状の悪化を防ぐための実施手順を あらかじめ定めて周知する必要があります。

発見してから考える
↓
では遅い
↓
平常時に連絡先と手順を決めておく

現場では、誰に連絡する?

実際に熱中症らしい人が出たとき、 対応する人が 「誰に電話すればいいんだろう」 と調べ始めていては時間がかかります。

そこで、 作業前に少なくとも次の情報を 分かるようにしておきます。

あらかじめ決めておくこと 例
熱中症発生時の報告先 職長、現場責任者、熱中症予防管理者等
救急要請 119番
現場の所在地 救急隊へすぐ伝えられるようにする
搬送先候補 近隣の医療機関、連絡先、診療時間など
冷却場所・冷却用品 休憩所、冷房、送風機、氷、冷却材、水など

実際に起きたら、この順番で確認する

① 作業をやめさせる
↓
② 涼しい場所へ移す
↓
③ 一人にせず、意識を確認
↓
④ 返事がおかしい・Ⅱ度以上の症状
→ 119番
↓
⑤ 身体を冷やす
↓
⑥ 自分で飲める場合のみ水分・塩分補給
↓
⑦ 状態を継続して確認する

現場の対応手順を確認してみる

確認してみること 確認
熱中症らしい人を見つけたときの報告先を知っている □
涼しい休憩場所を確保している □
身体を冷やすための水、氷、送風機等を準備している □
返事がおかしい場合はすぐ119番と理解している □
自力で水分が摂れない人へ無理に飲ませない □
体調不良者を一人にしないことを決めている □
救急隊へ伝えるため現場の所在地をすぐ確認できる □

「熱中症らしい」と気づいたら、 そこからは時間をかけて様子を見るのではなく、 決めてある手順をすぐ動かす。

そして、 本人が「大丈夫」と言っていても、 周囲から見ておかしいと感じた場合には 対応を先送りしないことが重要です。

講習テキストでも確認できます

当協会の 「熱中症予防教育」テキストでは、 熱中症が疑われる人への応急処置、 意識の確認、水分摂取、 救急隊の要請について解説しています。

▶ 緊急時の救急措置を見る

当協会では、 令和8年(2026年)のガイドラインに対応した 作業従事者向けの無料教材も公開しています。

▶ 熱中症予防教育「作業従事者向け教育」を見る

厚生労働省の「職場における熱中症予防情報」でも、 熱中症が疑われる人への対応手順を確認できます。

▶ 厚生労働省「職場でおこる熱中症」を見る

▶ 厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」を見る


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