2-1 指導および教育方法

(1)指導および教育の目的と意義

建設現場における労働災害防止の徹底を図るためには、たとえ作業者側に不注意や行動の誤りが生じても、機械・設備・環境側で災害が起こらない状態にすることが理想である。
これが「本質安全化」といわれるもので、安全衛生の根本的な原則である。しかし、すべての現場をこのような状態にすることは難しく、建設業の特性から困難な要素を多く含んでいるのが現状である。

一方、過去の事故や労働災害の原因を分析すると、安全衛生対策がとられた機械・設備であっても、作業者側が機械・設備の操作方法・作業手順がよく分からなかった、使用物質などの有害性を知らなかった、作業主任者・職長、作業指揮者に任命されたが必要な指示がされていなかったなど、「不安全行動」や「管理的要因」に該当するものが非常に多く見られる。

このため、本質安全化に努める一方において、人による誤りの防止を目的とした人的安全対策を推進し、この両方を平行して進めることによって労働災害を未然に防止することが必要となっている。この人的安全対策の柱となるものが指導および教育である。


(2)指導および教育とは

指導とは、目指すより良い方向に導くことであり、教育とは教え育てることである。

作業者に、安全作業に必要な知識・技能・態度を身に付けさせることによって、自ら安全作業をするように働きかけることである。


教育の種類と内容

(3)指導および教育の進め方

① 必要な教育の把握

職長は、部下にどのような指導・教育が必要かを把握する。

  • イ. 新規入場者、配置転換者が配置されたときなど、法令で定められた教育
  • ロ. 作業手順や作業場所に変更があったとき
  • ハ. 災害が発生したとき
  • ニ. 作業に関する技能や知識が不足していると認められたとき
  • ホ. 不安全行動を発見したとき

② 教育の準備

指導・教育内容、会場の準備、受講者・講師の選定をする。

③ 教育の実施

指導・教育の手順および教育の8原則を踏まえて実施する。


指導及び教育の8原則
                 
原 則 内 容
1 相手の立場にたって 教える側のペースや考え方で行わない、教育を受ける側の能力に応じて教える。
2 動機づけを大切に あまり押し付けず、なぜそのようなことを行うのか、そうすることでどのような効果があるのか説明し、ときには相手に考えさせるなど、自らやる気を起こすようにさせる。
3 やさしいことから、難しいことへ 相手が理解し、習得できる程度に合わせ、教える内容を次第に高める。
4 一時に一事を 人間は、一度に多くのことを覚え、身につけられない。1回に一つの事を教えていれば、相手は楽に理解できる。
5 反復して 何回も根気よく言って聞かせたり、やってみせ、やらせることが大切である。
6 身近な事例に結びつけて、強い印象を与える 抽象的、観念的な話では、聞いたときは分かったようでも仕事をする段階になるとそれを実行できないことが多い。身近な災害事例、改善事例など引用して強い印象を与えることが大切である。
7 五感を活用して 教育効果を上げるためには、五感の感覚機能を活用させる。五感が外部から受ける刺激の割合は、視覚75%、聴覚13%、触覚7%、嗅覚3%、味覚2%と言われている。
8 手順と急所の理由をいって なぜ、それが手順の急所になるのか、その理由をよく理解させないと忘れてしまう。安全衛生面だけでなく、生産性や品質の面からも重要なポイントであることを理解させる。

④ 教育効果の把握

教育事項の遵守、作業手順の遵守、作業態度などを見る。

⑤ 習慣化と持続化を図り育てる

指導・教育事項について、実作業の中で習慣化、持続化することで作業者を育てる。


※OJT(オンザジョブトレーニング)
 作業現場で実際の作業を通じてその時々にあわせた指導および教育をすること

※OFFJT(オフザジョブトレーニング)
 作業現場をはなれて、教育会場などを設けて指導および教育をすること

(4)作業の「教え方の4段階法」

指導および教育を行うに当たっては、前述の「指導および教育の8原則」に示すような、いくつかの留意すべきポイントや原則がある。これらは職長・安全衛生責任者が効果的な教育を行うための必須要素である。

安全衛生教育に必須とされる、知識教育は「知らない」こと、技能講習は「できない」こと、態度教育は「やらない」ことを解決する目的で実施され、それぞれ実施方法が異なる。

また、技能教育によく用いられている基本的な方法としては「作業の教え方4段階法」があり、主流として実践され効果をあげているので、職長・安全衛生責任者は「指導および教育の8原則」と併せて、効果的な指導・教育を実施することを心がけるようにする。

作業の教え方4段階法

 

地域・講習・人数に合わせてすぐに予約可能

講習会を予約する

このページをシェアする

講習会をお探しですか?

 

▲ページ先頭へ