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【第4章】第1節 熱中症の災害事例(3)

1. 業種別災害の事例

(3) 運送・その他の現場の事例

 運送業は作業場所が車内、倉庫内、路上などと様々です。車内はともかく荷の積み下ろしの際や、倉庫内、路上で被災する例は少なくありません。水分・塩分の補給休憩を中心に対策を講じていくことになるでしょう。

 熱中症は建設業や製造業ばかりでなく、あらゆる業種で発生します。炎天下ではないからとか、体を酷使していないからと油断は、できません。どんな業種でも教育を行っておき、日頃から啓発していくことが重要です。


事例1 製品積み込み中、トラック横で倒れる。(気温38℃、湿度40%、60才代)
災害発生状況

食肉加工工場に勤務していた Xは休日出勤して加熱殺菌設備内に入って清掃作業に従事していた。単独での作業で X は設備内に閉じ込められた。翌日出勤してきた同僚が倒れていたXを発見したが、すでに死亡していた。

ワンポイント

夜中から午後まで12時間以上の連続作業を行っていた。製品の積み込みを行っていた工場では冷却装置が故障していた。

 

事例2 休憩後トイレで倒れているのを発見。(気温33℃、湿度51%、50才代)
災害発生状況

温度計や冷房設備がない倉庫内で作業員 X は水分を補給しながら荷物の仕分けを行っていた。午後2時50分から午後3時10分まで休憩室で休憩を取ったが休憩室を出た後、 X の姿は見えなくなった。午後4時20分頃同僚がトイレに入ったところ、トイレで倒れていた X に気づいた。すぐに心臓マッサージを行ったが蘇生せずに同日搬送先の病院で死亡した。

ワンポイント

水分補給を行っていたものの、冷房はもちろん温度計すらない倉庫で作業で発症した。心臓マッサージを施したことは評価されよう。

 

事例3 ラーメン店の厨房裏口で倒れる。(温度37℃、湿度51%、30才代)
災害発生状況

午後11時30分から翌日午後4時まで営業しているラーメン店で調理作業員 X は水分・塩分を補給しながら、適度に休憩することもなく調理作業に当たっていた。午前2時30分頃、足元がふらついたため、自らが厨房裏口の通路で休憩したが、なかなか厨房に戻ってこないのを心配した同僚が様子を見に行った所、倒れているのが発見された。

ワンポイント

あとで厨房内にスポットクーラーの冷却装置がなかったことが判明した。そうした環境下で火を使用する調理作業に長時間従事していた。

 

事例4 帰宅後に倒れ翌日出勤せず。(温度27℃、湿度76%、30才代)
災害発生状況

清涼飲料水の搬送を行っていた X は建設現場に出向いて構内にある自動販売機に缶飲料を充填したあと6時40分に帰社した。その後、体調不良を訴えて、帰宅したが、翌日は出社せず、翌日の内に入院したが15日後に死亡した。

ワンポイント

作業を行う場所は常に特定されているわけではないが、概ね、高温環境下での作業になっていた。移動と作業の繰り返しで特に休憩の指示などはなかった。

 

 

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