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【第3章】第8節 その他作業に伴う災害及びその防止方法②

3.災害事例と対策①

<事例1>
大型ソーラーパネル工事で高さ13mの箇所で作業中、足を掛けていた鉄骨または根がらみから足を滑らせ地上まで墜落して死亡した

【災害発生状況】

4名の作業員で大型ソーラーパネル建造物裏側の鉄骨の塗装前準備作業(養生)を行っていた。
被災者は高さ13mの仮設足場とソーラーパネルとの間の開口部(115cm)の箇所で養生作業を実施中、足を載せていた鉄骨(幅5cm)または根がらみ(径4.8cm)から足を滑らせて地上まで墜落し、脳挫傷のため死亡した。

事例1

【原因】

作業する床に落下防止網を張り、労働者に墜落制止用器具を使用させるなどの墜落防止措置を講じず、本来足を載せる箇所でない鉄骨及び根がらみの上に足を載せて養生作業を行ったこと。


【対策】

作業する床の下に落下防止網を張り、労働者に墜落制止用器具を使用させるなどの墜落防止措置を講ずること。
また、作業床を設置し、鉄骨や根がらみに足を乗せて体を支えるような無理な姿勢の作業をなくすこと。


<事例2>
マンションの大規模修繕工事現場にて足場の解体作業中、足場上を移動していたところ、足場から地上に墜落した

【災害発生状況】

マンションの大規模修繕工事現場にて足場の解体作業中、解体した足場材の受け渡し役として、足場材を足場上で運んでいた被災者は、荷降ろし役の作業員に足場材を渡した後、次の足場材を解体役から受け取るために足場上を移動した際、足場から地上に転落した。
なお、足場上を移動する際、親綱の中継点があり、2丁掛けの墜落制止用器具を掛け替える必要があった。また、日没に差し掛かり、足場の解体作業現場は薄暗くなり始めていた。

事例1

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1)2丁掛けの墜落制止用器具が適切に使用されていなかったこと。
被災者が、足場の布板上を移動するにあたり、親綱の中継点で墜落制止用器具のフックを掛け替える際、未使用側のフックを(中継点の向こう側の)親綱に掛ける前に他方の親綱に掛けていたフックを外した、若しくは、掛けたつもりのフックが、親綱に完全に掛けられていなかったこと。

2)日没を迎え、作業現場が薄暗くなり始めていたにも関わらず、作業を続けたこと。
このことにより、墜落制止用器具のフックを掛ける親綱をしっかり目視できなかったり、布板の隙間に躓いたりするリスクが高まっていた可能性がある。

3)専任の監視人が不在で、作業主任者は自ら作業を行いながら、監視業務も行っていたこと。


【対策】

類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1)2丁掛けの墜落制止用器具の適切な使用方法について、教育徹底を図るとともに、作業開始前に、作業員に(2丁掛け墜落制止用器具の)適切な使用方法を相互に確認させることを徹底し、適切な使用方法の定着を図ること。

2)手元、足元が確実に見える照度を確保できるよう、日没間際まで作業を行わないようにすること、若しくは照明設備を設けること。

3)監視人が不在となることがないよう連絡体制を強化すること。専任の監視人をおくことが困難な場合は、副担当となるべき人員を複数選任すること。


<事例3>
住宅の屋根塗装工事において、1階屋根の塗装作業を行っていたところ、バランスを崩し、アスファルト舗装面に墜落した

【災害発生状況】

既設木造住宅の屋根塗装工事において、被災者は、塗装用手工具(ローラー)を使い、1階トタン屋根の塗装作業を行っていたところ、高さ3.13mの屋根から隣家駐車場のアスファルト舗装面に墜落し、脳挫傷により死亡した。
本件工事においては、塗装作業する屋根又はその建屋等に足場、手すり、親綱等の設置等による墜落防止措置は講じられておらず、被災者は保護帽、墜落制止用器具の保護具を着用していなかった。

事例1

【原因】

1)高さ2メートル以上の作業床の端で、労働者に作業させていたにもかかわらず、当該作業箇所に、囲い、手すり、覆い等を設ける等の墜落防止措置を講じていなかったこと。

2)墜落による危害を防止するための保護帽を着用させていなかったこと。

3)高所での塗装作業の危険性等に係る安全教育が不十分であったこと。


【対策】

1)高さ2メートル以上の作業床の端で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等を設ける等の墜落防止措置を講じること。
囲い等を設けることが著しく困難なときは、あらかじめ、親綱を設置した上で、墜落制止用器具を使用させる等の墜落防止措置を講じること。

2)墜落による危害を防止するための保護帽を着用させるとともに、作業中の保護帽の使用状況を監視すること。

3)高所での塗装作業等について、関係労働者に対し、危険性又は有害性及び作業手順等当該作業に関する必要な事項の教育の実施を徹底すること。



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