メニューボタン

第一種・第二種ショックアブソーバはどう使い分ける?

フルハーネス用のランヤードを見ると、 ショックアブソーバに 「第一種」や 「第二種」 と表示されているものがあります。

では、 第一種と第二種は何が違い、 どのように使い分ければよいのでしょうか。

「第二種の方が数字が大きいから上位のもの」 という分け方ではありません。

ポイントになるのは、 作業中にフックをどの高さへ掛けるのか です。

ここでは、当協会の 「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」テキストをもとに、 第一種・第二種ショックアブソーバの違いと 選び方を確認してみます。

そもそもショックアブソーバとは?

ショックアブソーバは、 墜落を制止するときに生じる衝撃を緩和するための器具 です。

墜落したとき、 ランヤードが張った瞬間に身体を急停止させるのではなく、 ショックアブソーバが伸びることで 身体や墜落制止用器具にかかる衝撃を緩和します。

墜落する
↓
ランヤードに力がかかる
↓
ショックアブソーバが衝撃を緩和する

第一種と第二種は何が違う?

第一種と第二種では、 規格上の落下試験の条件と、 求められる性能基準が異なります。

種類 規格上の
自由落下距離
衝撃荷重 ショックアブソーバの伸び
第一種 1.8m 4.0kN以下 1.2m以下
第二種 4.0m 6.0kN以下 1.75m以下
第一種・第二種ショックアブソーバ

ここで注意したいのは、 「第二種の方が性能が高いから、 いつでも第二種を使えばよい」という意味ではない ことです。

第一種と第二種では、 想定する使用条件が異なります。

第一種・第二種は「優劣」ではなく、 作業条件による使い分けです。

その作業でフックをどこへ掛けるのかを確認してから、 適切なショックアブソーバを選びます。

腰の高さ以上に掛けられるなら第一種

作業中、 腰の高さ以上にフックを掛けて作業できる場合には、 第一種ショックアブソーバを選定します。

腰の高さ以上にフックを掛けられる
↓
第一種ショックアブソーバ

フックを高い位置へ掛けるほど、 墜落してからランヤードが張るまでの 自由落下距離を小さくできます。

▶ フルハーネスは「着ける」だけではない―取付位置と落下距離

足元に掛ける必要があるなら第二種

鉄骨組立て作業などでは、 作業する場所によって、 フックを腰より上へ掛けられず、 足元付近へ掛ける必要がある場合があります。

足元へ掛けると、 D環とフックの高さの差が大きくなるため、 自由落下距離も大きくなります。

このような作業では、 フルハーネス型墜落制止用器具と 第二種ショックアブソーバ を選定します。

足元にフックを掛ける必要がある
↓
第二種ショックアブソーバ

第二種は、 第一種よりも大きな自由落下距離となる使用条件に対応するための ショックアブソーバです。

腰以上と足元、両方に掛ける作業なら?

実際の作業では、 ずっと同じ高さにフックを掛けられるとは限りません。

ある場所では腰より上へ掛けられても、 移動した先では足元へ掛けなければならない、 ということもあります。

このように、 腰以上への取付けと足元への取付けが混在する場合には、 第二種ショックアブソーバを選定します。

腰以上だけ
→
第一種
足元に掛ける
→
第二種
腰以上と足元が混在
→
第二種
「普段は腰より上だから第一種」で決めない

作業全体を見て、 途中で足元へフックを掛ける場面がないかを確認します。
足元への取付けが含まれる場合は、 第二種を選定します。

なぜ足元だと第二種になる?

理由を、 前の記事で確認した自由落下距離の式に当てはめてみます。

自由落下距離
=
ランヤードの長さ
+
(D環の高さ − フックを掛ける高さ)

フックを足元へ下げるほど、 「D環の高さ − フックを掛ける高さ」 が大きくなります。

その結果、 自由落下距離も大きくなります。

フックを低い位置へ掛ける
↓
自由落下距離が大きくなる
↓
第二種を選定する

第二種なら、足元に掛ければそれでよい?

第二種を選んだからといって、 フックの取付位置を考えなくてよいわけではありません。

厚生労働省のガイドラインでは、 墜落制止用器具の取付設備は できるだけ高い位置のものを選ぶ こととしています。

足元への取付けは、 作業上必要な場合に行うもので、 高い位置へ取り付けられるのであれば、 できるだけ高い位置を選びます。

第二種を選ぶことと、 フックをできるだけ高く掛けることは別の話です。

第二種を使用していても、 可能な範囲で高い取付位置を選び、 自由落下距離を小さくすることが基本です。

▶ フックは、どこに掛けても同じ?

ショックアブソーバだけで選定は終わらない

第一種・第二種を正しく選んでも、 それだけでランヤードの選定が終わるわけではありません。

実際には、 作業する場所の高さ、 ランヤードの落下距離、 使用する人の体重と装備品の質量 なども確認します。

確認すること 見るポイント
フックの取付高さ 腰以上だけか、足元への取付けがあるか
ショックアブソーバ 第一種・第二種のどちらが 作業条件に適しているか
落下距離 ランヤードに表示された落下距離と、 作業場所の高さを確認する
使用可能な最大質量 作業者の体重だけでなく、 装備品を含めた質量が範囲内か確認する

墜落制止用器具には使用可能な最大質量が定められているため、 作業者の体重と装備品を合わせた質量が その範囲を超えないものを選ぶ必要があります。

ワークポジショニング作業の場合は?

ワークポジショニング作業では、 通常、足元にフックを掛ける作業はないため、 第一種ショックアブソーバを選定します。

ただし、 その作業内容に 足元へフックを掛ける作業が含まれる場合には、 第二種ショックアブソーバを選定します。

ここでも、 「作業の名前」で決めるのではなく、 実際にどの位置へフックを掛けるのか を見ることがポイントです。

作業を始める前に確認してみる

第一種・第二種で迷ったら、 器具を見る前に、 まず実際の作業を確認してみます。

確認してみること 確認
作業中にフックを掛ける位置を確認した □
腰の高さ以上だけで作業できるか確認した □
途中で足元へフックを掛ける作業がないか確認した □
作業条件に合った第一種・第二種を選定した □
ランヤードに表示された落下距離を確認した □
作業場所の高さに対して、 必要な落下距離が確保されているか確認した □
作業者の体重と装備品の合計が、 器具の使用可能な最大質量を超えていない □

「第一種か第二種か」から考えるのではなく、 「この作業では、フックをどこに掛けるのか」から考える。

そうすると、 第一種・第二種の使い分けが より分かりやすくなります。

講習テキストでも確認できます

当協会の 「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」テキストでは、 ショックアブソーバの構造と種類、 作業条件に応じた選定方法について解説しています。

▶ 第一種・第二種ショックアブソーバの違いを見る

▶ 作業条件に応じたショックアブソーバの選定を見る

▶ ガイドライン「墜落制止用器具の選定」を見る

厚生労働省のガイドライン原文でも、 第一種・第二種の選定、 ランヤードの落下距離、 使用可能な最大質量などを確認できます。

▶ 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」を見る


← 公的機関の関連資料へ戻る

このページをシェアする

講習会をお探しですか?

 

▲ページ先頭へ