メニューボタン

85dB以上になると何が変わる?

建設現場で騒音を測ったら、 「85dB」という数字が出た。

騒音対策の資料でも、 「85dB」 という数字をよく見かけます。

では、 85dB以上になると、 何が変わるのでしょうか。

「85dBになったら耳栓をする」 だけでは、 騒音障害防止対策としては十分ではありません。

ここでは、当協会の 「騒音障害防止のための教育」テキストと、 厚生労働省の 「騒音障害防止のためのガイドライン」をもとに、 85dBという数字を現場でどう使うのか を整理してみます。

まず「85dB」は何を表している?

騒音の大きさは、 dB(デシベル) で表します。

職場の騒音管理では、 人の耳の感覚に近づけるために補正した A特性音圧レベル を用います。

さらに、 作業中の音は ずっと同じ大きさとは限りません。

そこで、 一定時間に変動する騒音を、 同じエネルギーを持つ一定の騒音として表した 「等価騒音レベル」 を使って評価します。

音が大きくなったり小さくなったりする
↓
一定時間の騒音をまとめて評価
↓
等価騒音レベル

厚生労働省のガイドラインでは、 測定等の結果、 等価騒音レベルが 85dB以上となった場合には、 施設・設備、作業工程、作業方法等を改善し、 85dB未満となるよう努める こととしています。

85dBは「ここまでなら何もしなくてよい」という数字ではありません。

騒音レベルを把握し、 85dB以上となった場合には、 まず騒音そのものを低減できないかを考えます。

85dB以上になったら、まず騒音を下げる

測定や評価の結果、 等価騒音レベルが 85dB以上 となった場合には、 まず騒音の発生源や 作業方法などを見直します。

騒音源を確認
↓
施設・設備を見直す
↓
作業工程・作業方法を見直す
↓
85dB未満となるよう努める

例えば、 低騒音の機械・工具へ変更する、 騒音源を囲う、 遮音壁を設ける、 騒音源から距離を取る、 作業方法を変更するなどの方法があります。

つまり、 耳に入る音を耳栓だけで小さくする前に、 作業場所そのものの騒音を下げられないか を考えます。

85dB以上90dB未満ではどうする?

等価騒音レベルが 85dB以上90dB未満 の場合には、 施設・設備、作業工程、作業方法等を点検し、 必要な改善を行って 85dB未満となるよう努めます。

そのうえで、 騒音作業に従事する労働者には 必要に応じて聴覚保護具を使用 させます。

85dB以上 90dB未満
↓
騒音低減措置
+
必要に応じて聴覚保護具

90dB以上になると対応はさらに強くなる

等価騒音レベルが 90dB以上 の場合にも、 施設・設備、作業工程、作業方法等を点検し、 85dB未満となるよう改善します。

さらに、 騒音作業に従事する労働者に 聴覚保護具を使用させます。

そして、 ガイドラインに基づき選任した 騒音障害防止対策の管理者に、 聴覚保護具が正しく使用されているかを 確認させます。

また、 聴覚保護具を使用することについて、 作業中の労働者が容易に分かるよう 作業場の見やすい場所へ掲示 します。

等価騒音レベル 主な考え方
85dB未満 その作業環境を 継続的に維持するよう努める
85dB以上
90dB未満
85dB未満となるよう 施設・設備、作業工程、作業方法等を改善。
必要に応じて聴覚保護具を使用する
90dB以上 85dB未満となるよう改善。
聴覚保護具を使用させ、 使用状況を管理者に確認させ、 使用について作業場へ掲示する
85dB以上90dB未満と90dB以上では、 聴覚保護具の扱いも同じではありません。

特に90dB以上では、 聴覚保護具を使用させ、 正しく使われていることまで確認します。

建設現場の「手持動力工具」はもう一つ注意

建設現場では、 ブレーカー、グラインダー、 インパクトレンチ、電動ドリル、丸のこなどの 手持動力工具 を使用する作業が多くあります。

厚生労働省のガイドラインでは、 手持動力工具を使用する業務については、 第Ⅰ管理区分に区分されることが継続している場所や、 等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場合等を除き、 労働者に聴覚保護具を使用させる こととしています。

そのため、 「測ってみたら88dBだから、 90dB未満なので耳栓はいらない」 と単純には判断できません。

建設現場では「何dBだったか」だけでなく「どんな作業か」も見る

特に手持動力工具を使う作業では、 ガイドライン上の 聴覚保護具の取扱いも確認します。

85dBなら8時間まで使ってよい?

騒音は、 音の大きさだけでなく、 その音にさらされる時間 も重要です。

厚生労働省のガイドラインには、 等価騒音レベルと 1日のばく露時間の関係を示した 「許容基準」が掲載されています。

等価騒音レベル 表に示された
1日のばく露時間
85dB 8時間
88dB 4時間
91dB 2時間
94dB 1時間
97dB 30分
100dB 15分

この表を見ると、 騒音レベルが3dB上がるごとに、 示されるばく露時間がおおむね半分になっていることが分かります。

例えば、 85dBでは8時間、 88dBでは4時間、 91dBでは2時間、 94dBでは1時間です。

この表は「ここまでなら自由にばく露してよい時間」 という意味ではありません。

厚生労働省のガイドラインでは、 85dB以上の騒音へのばく露時間は、 表に示された時間よりも 可能な限り短くする ことが求められています。

騒音を下げても85dB未満にならなかったら?

まず設備や作業方法等を改善して、 騒音を低減します。

それでも 第Ⅰ管理区分にならない場合や、 等価騒音レベルが 85dB未満とならない場合には、 先ほどの表を参考に 騒音作業へ従事する時間の短縮 を検討します。

まず騒音を低減
↓
それでも85dB未満にならない
↓
作業時間の短縮を検討
↓
必要な聴覚保護具を使用

途中で静かな場所に移った時間はどう考える?

騒音へのばく露が断続的に行われる場合には、 一日の勤務時間を そのまま騒音ばく露時間とするわけではありません。

厚生労働省のガイドラインでは、 騒音レベルが80dB未満にとどまっている時間 を「実効休止時間」としています。

断続的なばく露の場合には、 この実効休止時間を除いた 1日のばく露時間を合計 して考えます。

勤務時間 8時間
↓
騒音へばく露されている時間を確認
↓
80dB未満の実効休止時間を除く
↓
1日の騒音ばく露時間を確認

騒音はどこで測る?

騒音作業場では、 対象となる作業場の種類や 騒音源の動き方などに応じて、 測定方法が異なります。

厚生労働省のガイドラインでは、 作業環境測定、定点測定、 個人ばく露測定 などの方法が示されています。

例えば、 別表第2に掲げる 屋外作業場では、 定点測定または個人ばく露測定によって 等価騒音レベルを把握します。

地面上に騒音源があり、 周辺に建物や壁等がない場所では、 一定の条件のもと、 騒音源の音響パワーレベルと距離から 等価騒音レベルを推計する方法もあります。

別表第2の屋外作業場では、 原則として 6月以内ごとに1回、定期に測定します。 ただし、等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場所では、 定期測定を省略できる場合があります。

また、 施設、設備、作業工程または作業方法を変更した場合には、 その都度測定します。

スマートフォンの表示だけで評価を終わらせない

スマートフォンのアプリ等は、 騒音の大きさを知る一つの目安にはなりますが、 厚生労働省のガイドラインに基づく測定では、 対象となる作業場に応じた測定方法と 適切な測定機器を用いて 等価騒音レベルを把握します。

「耳栓をしているから85dB以上でもよい」ではない

聴覚保護具は重要ですが、 騒音障害防止対策の最初の手段ではありません。

厚生労働省のガイドラインでは、 騒音発生源対策や伝ぱ経路対策等によって 騒音レベルを十分に低減できない場合に、 聴覚保護具を二次的に使用する という考え方が示されています。

① 音を発生源で小さくする
↓
② 音が伝わる経路を遮る
↓
③ 作業時間・作業方法を見直す
↓
④ 必要な聴覚保護具を使う

「耳栓を渡したから対策終了」 ではありません。

この続きは、 次のページで 騒音源、伝ぱ経路、作業方法、聴覚保護具 の順に具体的に確認します。

▶ 「耳栓をすればよい」で終わらせない騒音対策

現場で85dBの意味を確認してみる

確認してみること 確認
騒音が大きいと思われる作業を確認した □
対象となる方法で等価騒音レベルを把握した □
85dB以上となっている場所・作業を確認した □
騒音源や作業方法を改善できないか検討した □
1日の騒音ばく露時間を確認した □
作業に応じて必要な聴覚保護具を選定した □
聴覚保護具を正しく装着できているか確認した □

85dBは、 「耳栓をするかどうか」だけを決める数字ではありません。

測定した結果から、 騒音源を下げる、 作業方法を変える、 ばく露時間を短くする、 必要な聴覚保護具を使う という一連の対策につなげるための数字です。

講習テキストでも確認できます

当協会の 「騒音障害防止のための教育」テキストでは、 騒音レベルの測定・評価と 管理区分について解説しています。

▶ 騒音レベルの把握・評価を見る

騒音源対策や 建設現場などでの測定・対策については、 次のページでも確認できます。

▶ 騒音ばく露低減措置を見る

厚生労働省では、 令和5年(2023年)4月に改訂した 「騒音障害防止のためのガイドライン」と パンフレット等を公開しています。

▶ 厚生労働省「騒音障害防止対策」を見る

▶ 「騒音障害防止のためのガイドライン」を見る


← 公的機関の関連資料へ戻る

このページをシェアする

講習会をお探しですか?

 

▲ページ先頭へ