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【第5章】第3節 災害事例③

3-1 酸素欠乏

7 地下ピット

建設中のマンション地下ピットに入り酸素欠乏症(建設工事業:休業2名)


地下ピッ

(1)発生状況

① 本災害は、大型マンションバイク置場となる地下ピットの型枠解体作業中に発生したもので、

② 被災者Aは、コンクリートのはつり、型枠の解体を専門としており、本現場では型枠解体の作業日だけ入場していた。

③ 災害発生現場は、コンクリート打設後約4カ月放置してあったバイク置場となる地下部分のピットの型枠を解体する作業となり、朝から5名で作業に着手した。

④ このピットは雨水の浸入を防ぐためスラブ型枠を使用し、密閉状態であった。そのため、まずピットに入るためのダメ穴を作るため鉄筋を切断後、上部コンパネを切り取り、被災者Aがピット内に入った。

⑤ 次にピット外にいた被災者Bが中に入った作業者に投光器を渡そうとして中を照らしたところ、先に入った作業者が壁に寄りかかるように倒れていることを発見した。ピット内には水が溜まっており、先に準備した電動サンダーによる漏電で感電したと思い込み、別の作業者に電源を切ることと救出の呼びかけを頼んだ。その後中の作業者を救出するため中に入ったところ被災者Bも意識を失って倒れた。

⑥ 2人は救出されて病院に搬送されたが、低酸素脳症のため両者とも休業となった。


(2)原因

① ピットは4カ月に渡り密閉され、雨水が滞留していたため酸素欠乏場所となっていた。被災者救出後に消防署員がピット内の酸素濃度を測定したところ、12.9%であった。

② 本作業は、ピットに入る前に酸素濃度を測定せず、かつ、換気も行わず作業を開始した。救助のために中に入る際も同様の酸素欠乏に対する措置をしないまま行動した。

③ この建設工事は、大規模で長期間の工期であった。地下ピットのようにコンクリートを打設後密閉された状態で放置してあった箇所にもかかわらず、元請・下請事業者とも酸素欠乏危険のおそれがあることを意識していなかった。そのため、ピット内での作業開始前に酸素濃度の測定や換気等を実施していなかった。


(3)再発防止対策

① 長期間密閉しているピット内で雨水等が滞留している箇所で作業を行う場合は、その日の作業開始前に酸素濃度・二酸化炭素濃度・硫化水素濃度等を測定し、作業箇所の安全を確認したうえで作業を開始する。

② 酸素欠乏危険場所で作業を行わせる場合は、作業箇所の酸素濃度を18%以上(硫化水素の発生がある場合には10ppm以下)に保つよう換気する。

③ 酸素欠乏危険作業主任者を選任し、その職務を履行させる。

④ 労働者に対して酸素欠乏症の危険及びその防止対策について特別教育を実施する。

⑤ 事業者及び特定元方事業者は、酸素欠乏等の危険作業の有無についてあらかじめ検討を行うとともに、その防止対策、教育実施等について十分に安全衛生管理を実施する。



8 下水道

マンホール内で酸素欠乏症(上下水道工事業:死亡2名、休業1名)


下水道

(1)発生状況

① 本災害は、下水道築造工事でマンホール内の排水ポンプを引き上げる作業中に発生した。発生当日は、下水道築造工事で雨水管取替作業を行っていたが、排水ポンプの能力が不足したためもう一台増設することになった。このため、作業責任者と作業者1名がマンホールの蓋を開け、タラップを使って中に入った。

② その後同僚がマンホール内をのぞいたところ二人が倒れているのを発見し、作業者1名が救助のためマンホール内に入った。先に入った2名に声をかけたが応答がなかった。その直後に救助者もマンホール内で倒れた。

③ 病院に搬送された3人のうち先に入った2名は酸素欠乏症で死亡。救助者は低酸素脳症で入院となった。


(2)原因

① 元請事業者、下請業者は、発注者からボーリング調査結果を渡され、泥炭層であることを知らされていたが、酸素欠乏のおそれのある場所として認識していなかった。

② マンホール内に立ち入る前に、内部の酸素濃度測定及び換気を実施していなかった。

③ 作業主任者を選任していなかった。

④ 作業者に対して酸素欠乏危険作業場所における作業に関する特別教育や救助訓練を実施していなかった。


(3)再発防止対策

① 現場事前調査として作業場所の地層、酸素欠乏危険の有無等について情報を収集し、適切な安全施工計画を立てる。

② マンホール等への立入前に必ず酸素濃度等の測定を行い、必要に応じて強制換気等を行う。

③ 酸素欠乏危険作業主任者を選任し、作業を直接指揮させる。

④ 空気呼吸器、要求性能墜落制止用器具等保護具を備え付け、かつ作業の方法に関する内容及び緊急事態発生時の救急用装備、救出方法についても教育訓練を行う。

⑤ 元方事業者は、工事に関する過去の施工実績や災害事例等の情報を収集し、それらに基づいた作業計画の策定や作業の遂行について関係請負事業者及びその労働者を指導・監督する。


 

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