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【第2章】第1節 酸素欠乏症の病理と症状①

1 空気中の酸素濃度

(1)地球の大気

現在地球の大気には約21%(海抜0m、1気圧で約20.95%)の酸素が存在しますが、原始的な生命が誕生したころの酸素は海水中に存在し、植物の誕生による光合成の結果徐々に大気中に酸素が含まれるようになったと考えられています。その後動物など大気中の酸素を取り入れエネルギーを作り出すことが出来る生物が誕生し、現在に至っているということです。

また、あらゆる動物の中で人間は特に巨大な脳を持っており、これを維持するためには1日当たり100Lという大量の酸素が必要とされています。

従って、酸素不足が起こると体全体をコントロールする脳に一番先に、しかも大きなダメージを与えます。例えば、無酸素の状態では直ちに意識を失い2分程度で大脳の組織(細胞)崩壊が始まるとされています。


(2)空気の組成

空気の組成は表2-1のとおり酸素と窒素で約99%を占め、正常な酸素濃度は約21%であることがわかります。

表2-1 空気の組成

また、高地になるほど酸素濃度が低くなると言われることもありますが、厳密には空気の組成率としての濃度という意味ではなく、地球の引力が弱まるため酸素などの分子がまばらになり(気圧の低下)、一回の呼吸で体内に取り込む量が減るため、結果的に酸素不足の症状を来すということです。(表2-2)。


表2-2 高度・気圧・酸素分圧

ちなみに、エベレスト山頂は地上に換算すると7%未満の酸素濃度となり、一般人だと身動きもままならないレベルとされています。マラソン選手や登山家は高地で厳しい訓練をすることにより、低酸素状態にある程度順応する体づくりをしているので、長距離を驚くほどの速さで駆け抜けたり、8000m級の山に酸素ボンベなしで登頂出来たりするわけです。


2 人体における酸素の摂取

人は肺(肺呼吸)で取り込んだ酸素を全身の細胞に送り、食物から得た物質との化学反応でエネルギーを得ています(内呼吸)。


【呼吸の化学式】(※中学程度の内容での反応式。正確にはより複雑。)

C₆H₁₂O₆ + 6O₂ + 6H₂O → 6CO₂ + 12H₂O プラスエネルギーを獲得(38ATP)

食べ物(炭水化物)から得られるブドウ糖(→C₆H₁₂O₆)と水(→6H₂O)に呼吸で得られる酸素(→6O₂)が加わり、細胞内で反応することによりエネルギ―(→38ATP)と二酸化炭素(6CO₂)と水(12H₂O)が生成され、二酸化炭素は呼吸で放出されます。また、水の一部は尿や汗となり排出されます。


(1)呼吸器の構造と機能

図2-1 肺の構造、肺胞、肺毛細血管

肺の中で空気と肺毛細血管の血液は図2-1のように肺胞です。ここで酸素と二酸化炭素のガス交換がおこなわれています。肺胞は、肋骨の間の筋肉と横隔膜の運動作用で、常に酸素濃度の高い新鮮な空気を吸入し、不要になった二酸化炭素を排出しています。


(2)生体の酸素利用

生体内のすべての細胞は、その一つひとつが酸素を利用して自前でエネルギーを生成して活動を続けています。従って、酸素が無いということはエネルギーを生み出すことができないということであり、生命活動が維持できないことにつながります。また、脳や筋肉などエネルギー消費量が大きい細胞および組織は、その機能を維持するためにより多くの酸素を要求します。

もし心臓停止などで血液が止まれば、脳の機能もその瞬間止まり、意識不明で仮死の状態に陥ります。呼吸している空気が無酸素状態となれば、肺血流による必要な酸素分圧が得られないので、その無酸素空気を1回でも呼吸すれば意識喪失をきたす危険性があります。


(3)窒息

呼吸ができなくなる状態を窒息といいます。人間は常にガス交換が可能な状態で細胞に酸素を送り続けなければなりません。この過程で異常が起これば窒息が起こり、死に至ります。

窒息は、地下や密閉された空間で鉄分の酸化により酸素が消費された場所や大量の二酸化炭素が発生する場所でも起こります。

この他、塩素、アンモニア、フツ化水素等の刺激性の強いガスを吸入すると気管の粘膜が刺激され、分泌液が出て肺の内部に貯留されます。この状態を肺水腫といい、窒息につながります。


 

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