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第2章 丸のこ等を使用する作業に関する知識③

1.作業計画の作成等

(6)丸のこ等の取扱い

①使用電源は、銘板に表示してある電圧で使用してください。
表示を超える電圧で使用すると、回転が異常に高速となり、けがの原因になります。

②安全カバー(保護カバー)は、絶対に固定しないでください。また、円滑に動くことを確認してください。のこ刃が露出したままですと、キックバックを起こしたときにけがの原因になります。

③のこ刃は、銘板に表示してある範囲内ののこ刃を使用してください。
また、刃底径がM580は160mm以下、M560は140mm以下ののこ刃は使用しないでください。

④切断する材料は、安全性のよい作業台に置いて作業してください。作業台が不安定ですと、けがの原因になります。

⑤切り落とし寸前や切断中に、材料の重みでのこ刃がはさみつけられないように、切断する部分に近い位置を支える台を設けてください。のこ刃がはさみつけられると、キックバックを起こします。

⑥材料の切り落とし側が大きいときは、切り落とし側にも安定性のよい台を設けてください。
また、切り落とした材料がのこ刃と接触し、飛散するのを防止するために、台の高さは、のこ刃の出ししろの3倍以上にしてください。

⑦使用中は、本体を確実に保持してください。確実に保持していないと、本体が振れ、キックバックを起こします。

⑧使用中は、のこ刃や回転部、切粉の排出部に手や顔などを近づけないでください。

⑨切断途中で、のこ刃を回転させたまま本体を戻そうとすると、強い反発力が生じ、けがの原因になります。その場合、スイッチを切り、回転が完全に止まってから本体を持ち上げるようにしてください。

⑩ベンチスタンドを使用する場合は、スタンドを固定してください。
また、接触予防装置を必ず取り付けてください。ベンチスタンドがぐらついたり、接触予防装置がないと、けがの原因になります。

⑪使用中、機械の調子が悪かったり、異常音がしたときは、直ちにスイッチを切って使用を中止し点検(修理を依頼)してください。


■丸のこの始動と停止(電工ドラム)

①丸のこの電源スイッチオフを確認(ロック機能)

②丸のこの電源プラグを電工ドラムのコンセントに差し込む
(アースが必要な場合は先にアース線をつないでから)

③スイッチを入れ試運転を行う
(数回インチングしてから長押し)
(異常な音や振動、ニオイがないか)

④スイッチを切る

⑤のこ刃の回転が完全に止まってから作業台等に置く

⑥電源プラグを電工ドラムから抜く
(アース線をつないでいる場合はプラグを先に抜いてからアース線を抜く)

⑦電源コードを巻く

⑧指差し呼称を行う
※電工ドラムのコードは伸ばしておきます。


■電工ドラムの使い方

①巻いたままの状態で定格電流を超えた電流を流すと、電線が加熱して溶けるおそれがありますのでご注意ください。また、コードリールに使用されているケーブルは、種別によって使用できる温度(許容温度)が決まっています。この温度範囲外での使用はさけてください。

②許容電流とは、各部品単体に流す事ができる電流値であり、コードリールそのものに流すことができる電流を表しているわけではありません。すなわち、コードリールにおいては、電線を巻いたままの状態では定格電流まで、電線を全長(黄色の引き止めマークまで)引き出した状態では限度電流までの電流を流すことができます。(これらはコードリールに限る)

③屋内型は「湿気又は水気の少ない通常の場所における使用に適する性能を有するもの」、屋外型は「風雨雪及び直射日光にさらされる場所における使用に適する性能を有するもの」と”内線規定”により定義されています。
屋外型のコードリールは、通常の使用状態において通電部に水がかからない構造となっており、かつ、各部が耐候性を持っていますので、雨などの条件下で風雨にさらされても水が原因となる感電を引き起こさないようになっています。屋内型のコードリールは、屋内の水や水滴等のかからない場所で使用するのが原則です。

④屋内用コードリールは屋外では原則としてできませんが、実際には所かまわず使われているのが現状です。「屋外」を○水気のある場所○湿気のある場所○降水にさらされる場所○粉塵(鉄粉など)の多い悪環境の場所とした場合には、屋内型コードリールは安全上の理由から使用できません。


(7)丸のこ等作業の基本動作

①切断部材に釘やコンクリートが付着していると、のこ刃が反発したり、チップが剥がれて飛散し作業者に当たる可能性があります。

②作業場所は必要なだけの明るさ(照度)を保ちます。

③受け台はのこ刃の出し代の3倍以上あることが必要です。また受け台や作業台は水平で安定が良いものを使用します。

④作業中に切断部をのぞき込むと、飛散したのこ屑等が目に入ることがあります。また、石膏ボード系であれば粉じんも発生するので保護メガネと防じんマスクを使用します。

⑤丸のこは、下向きに押しながら使用します。上向きに使用すると落としたりキックバックを起こし非常に危険です。位置的には胸よりも下で使用します。


■作業手順のイメージ

手 順 急 所(安全、成否、やりやすさ)
準備作業 ①TBMを実施する 全員参加で作業手順書を見ながら
②体調を確認する 作業員の顔色を見ながら
③保護具を点検する 防じんメガネを手に取って
④機械工具を点検する 安全カバーを動かしながら
電源コードの損傷を触りながら
のこ刃が緩んでいないか
⑤立ち入り禁止する 関係者以外が入ってこれないようにバリケードで
本作業 ①付着物を取り除く バールなどでコンクリートなどの
②作業台に固定する 切断部材が動かないようにクランプ等で
③電源コードをつなぐ スイッチが切れていることを確かめてから
④丸のこを持つ トリガーに触らないように
⑤出し代を調整する 切断部材から3㎜程度出るくらいに
⑥切断する 丸のこの定盤を切断部材に押し付けながら
軽く前に押し出しながら
片付け ①切断部材を片付ける
②掃除する

■リスクアセスメント

第2章(2)でリスクアセスメントの説明をしていますが、丸のこ作業でのリスクアセスメントはリスク(事故型)から考えていきます。


【飛来・落下対策】

飛来については、のこ刃のチップが剥がれて飛んだり、切りくずが飛散したりしますので対策は目を守ることになります。(失明はリスクレベル最大級)

丸のこ側での対策が難しいので、フェイスシールドや防じんメガネ等を用意して使用することになるでしょう。(使用は人に頼る対策なのであまり良くない)

【切れ・こすれ対策】

多くの場合、キックバックが原因なので対策は使い方で対応(KYK)

【感電対策】

100Vの線付き機器だから感電します。これは充電式丸のこに買い替えることで完全に解決できます。(費用を掛けて安心できる機器に交換)

【負傷部位】

結果からの対策であれば、丸のこ作業での労働災害の多くは左足太腿と左手指ですから、どうしても心配という場合はチエンソー用のチャップスを下半身に装着したり、左手にチエンソー用手袋を装着するなど考えられます。
そのくらいの保護具でなければ丸のこ刃には太刀打ちできません。

ハスクバーナ社製下半身保護用のチャップスと保護手袋

指差し呼称なんて意味がないというけど

指差し呼称は「正しい姿勢」で「正しい動き」と「大きな声」が揃わないと効果を発揮しません。意味がないと感じるのならば、正しく実施していないのではないかと疑ってください。
指差し呼称の正しい姿勢と正しい動き、大きな声は脳を活性化する目的があります。脳を活性化させることで、認知力、認識力を上げ、更に記憶力も上げていきます。呼称項目が脳に打ち込まれるのです。
「丸のこの安全カバー、動きヨシ!」と正しく指差し呼称を行うと、この言葉が脳に強く打ち込まれ、普段から意識しなくても安全カバーの動きを確かめるようになります。これが意味であり目的なのです


【資料】

危険予知訓練第1R<どんな危険がありますか>と、リスクアセスメントの危険性又は有害性の特定はほぼ同じ考え方が出来ます。

リスクアセスメント演習用シート

(8)丸のこ等切断作業について

丸のこ等を使用する際は常に「反発=キックバック」の可能性を意識して作業を行います。これはディスクグラインダーや刈払い機、チエンソーも同様です。
回転するものは「反発=キックバック」を起こし、重篤な災害を起こします。


■安定した受け台や作業台の上で丸のこを使用します。

①のこ刃の出し代は3㎜程度で十分です。部材に合わせて調整します。

②受け台の間隔が広いと、切断部材が落ち込み反発します。

③作業台で切り離す切断部材が大きいと(重い)反発します。

④反った部材を切り進むと受け台があっても反発します。

⑤切断時は部材にのこ刃を当ててスイッチを入れると反発します。

⑥作業場所が狭いからといって部材を立てかけて切断するのは厳禁です。
※のこ刃側面に圧力が掛かることを、「のこ刃が挟まる」「噛む」「締まる」と表現することもありますが、意味は全て同じです。


・のこ刃の出し代が多いと床や地面に当たり反発し、体の方に丸のこが飛んできます。
・出し代が多いだけでも、のこ刃側面に切断部材が当たりやすくなるので反発しやすくなります。
・受け台が足りないと切断時に切断部材が落ち込みのこ刃が切断部材に挟み込まれ反発します。
・のこ刃の出し代が多いと床や地面に当たり反発し、体の方に丸のこが飛んできます。
・出し代が多いだけでも、のこ刃側面に切断部材が当たりやすくなるので反発しやすくなります。
・受け台が足りないと切断時に切断部材が落ち込みのこ刃が切断部材に挟み込まれ反発します。
・丸のこで部材を切るときは定盤を切断部材に押し当てて安定させるので、どうしても落ち込みが発生し、切れなくなり同時反発します。
・定盤の下に受け代等があれば安心できます。
・作業台などでは、このような切断を行うことがありますが、切り離される側の部材が重いと、切り進むに従い垂れ下がってきます。下がった切断部材がのこ刃に圧力をかけることになるので反発します。
・切り難くなったら直ぐにスイッチを切ります。
・このような作業の場合は特に、丸のこの後方に体を入れないように少し左側によっておきます。
・切り離される側の部材が大きい、あるいは重い時は、垂れ下がりを防ぐために下に新たな支えを入れるか、床や地面に置いて必要なだけ受け台を下に入れて作業を行います。
・垂れ下がりが少なくても、真っ直ぐに切れなくなることがあります。丸のこは直線切りしかできないので、曲線切りやヒネリが入ると反発します。
・反った部材は切断していくと、のこ刃を切断面で挟み込む形になり反発します。切りにくい、重いと感じたらすぐにスイッチを切ってください。
・切断は、のこ刃の回転が上がってから始めます。切断部材にのこ刃を押し当ててからスイッチを入れると反発します。
・反発は回転数が低くなるほどしやすくなります。
・部材に節があると、節は固いので反発したり節が抜けて飛び体に当たる可能性もあります。丸のこ等は便利な反面、反発という大変なリスクがあることを意識しましょう。

 

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