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【第4章】第1節 熱中症の災害事例(6)

2. 災害事例分析:原因と対策

熱中症による死亡災害に関する発生状況、原因、対策の事例を紹介します。


(3) 事例3:建築工事業

事故概要

真夏の木造家屋建築工事現場にて、作業に従事していたところ、休憩中にふらつき、ろれつが回らなくなり、痙攣し始めた。

発生状況
  1. 被災者は、朝方より木造家屋建築工事現場で家屋の基礎の型枠材の加工、組み立て作業に従事していた。休憩は、1時間に1回(50分労働の後、10分の休憩)、昼休憩は12時から13時まで、午後も1時間に1回の休憩をとっていた。
  2. 夕方の休憩時、被災者がふらふらし始めたので、頭に水をかけて冷やした。しかし、その後、ろれつが回らなくなり、痙攣を起こしたので、空のポリタンクを枕にして寝かせた。
  3. それでも回復する兆しがなかったので、救急車の出動を要請したが、搬送された後「熱射病による多臓器不全」により死亡した。
原因

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

  1. 高温下での作業であったこと。
  2. 監督者による水分、塩分の摂取量が把握されていなかったこと。
  3. 休憩時間における遮光されている場所がなかったことに加え、被災者の作業衣も保熱し易く、熱中症対策が十分でなかったこと。
  4. 熱中症予防のための指標であるWBGT(Wet-bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)値の測定を行っていなかったこと。
  5. ろれつが回らない状態である時は、直ちに救急要請を行う等、熱中症に関する安全衛生教育が不十分であったこと。
  6. による作業場所の巡視が、3日に一回程度と少ない頻度であったこと。
対策

類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

  1. 監督者は、水分、塩分の定期的な摂取の程度を把握し、不足する場合は摂取させること。
  2. 作業場所又はその近傍に、臥床することができる冷房を備えた休憩所、又は日陰等の涼しい休憩場所を確保し、また、冷たいおしぼり等身体を適度に冷やすための、物品及び設備を設けること。
  3. 熱を吸収し、保熱し易い服装は避け、通気性、透湿性の良い服装、及び通気性の良い帽子等を着用させること。
  4. 作業の休止時間、及び休憩時間を確保し、高温多湿作業場所の作業を連続して行う時間を短縮すること。また、作業の状況に応じ、身体作業強度(代謝率レベル)が高い作業を避け、作業場所を変更するなどの対策を実施すること。
  5. 熱中症の症状、予防方法、応急処置等について、労働者、作業を管理する者並びに関係請負人に、安全衛生教育を実施すること。
  6. WBGT予報値、熱中症情報を事前確認のうえ、実際にWBGT値を測定し、身体作業強度の区分に応じた作業となるよう活用すること。14時から17時の炎天下等でWBGT値が基準を大幅に超える場合は、連続作業時間及び作業時間を短縮し、長めの休憩時間を設ける等、作業時間の見直しを行うこと。
  7. 監督者の現場巡回回数を増やし、上記の措置を講じること。

 

業種

木造家屋建築工事業

事業場規模

1~4人

機械設備・有害物質の種類(起因物)

高温・低温環境

災害の種類(事故の型)

高温・低温の物との接触

被害者数

死亡者数:1人  休業者数:0人
不休者数:0人  行方不明者数:0人

発生要因(物)

部外的、自然的不安全な状態

発生要因(人)

職場的原因

発生要因(管理)

不安全な放置

 

 

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