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事前調査が必要な工事と、報告が必要な工事は違う

建築物や工作物の解体・改修工事では、 工事前に石綿の使用の有無を調べる 「事前調査」が必要です。

一方で、 一定規模以上の工事では、 その事前調査の結果を労働基準監督署や自治体へ報告 する必要があります。

ここで混同しやすいのが、 「事前調査が必要な工事」と 「事前調査結果の報告が必要な工事」は同じではない という点です。

ここでは、当協会の 「石綿取扱い作業従事者特別教育」テキストと 厚生労働省の資料を見ながら、 どこが違うのか整理してみます。

まず、「調査」と「報告」を分けて考える

最初に、この二つを分けて考えてみます。

事前調査
石綿が使用されているかを調べる
↓
一定規模以上の工事か確認
↓
対象なら事前調査結果を報告
「報告対象ではない」=「事前調査をしなくてよい」ではありません。

報告義務の有無と、 事前調査そのものの必要性は別に考えます。

事前調査は、工事の規模にかかわらず必要

建築物や工作物の解体・改修工事を行う場合には、 あらかじめ、 工事を行う部分について 石綿等の使用の有無を事前調査します。

これは、 「80㎡以上だから調査する」 「100万円以上だから調査する」 というものではありません。

厚生労働省の案内では、 事前調査の対象となる解体・改修工事については、 報告対象となる規模にかかわらず事前調査を行う必要がある とされています。

報告基準より小さい解体・改修工事
↓
事前調査の対象なら調査が必要

つまり、 報告基準より小さい工事であっても、 事前調査の対象となる工事であれば、 石綿の有無を確認せずに 解体・改修工事を始めるということにはなりません。

事前調査を要しない作業もあります

ここでいう「規模にかかわらず必要」とは、 事前調査の対象となる解体・改修工事については、 報告基準未満でも調査が必要という意味です。
石綿を含まないことが明らかな材料を、 周囲の材料を損傷させずに取り外す作業や、 既存材料を除去せず新たな材料を追加するだけの作業など、 事前調査を要しない作業もあります。

では、どんな工事で「報告」が必要?

事前調査の結果を 労働基準監督署および自治体へ報告する必要があるのは、 一定規模以上の工事です。

建設工事に関係する主な基準は次のとおりです。

対象 工事 報告が必要となる規模
建築物 解体 解体部分の床面積の合計が80㎡以上
建築物 改修 請負金額が税込100万円以上
特定の工作物 解体・改修 請負金額が税込100万円以上
100万円は「税込」の工事全体の金額

報告基準となる請負金額には、 工事費用だけでなく、 材料や機器等の費用と消費税を含めた 工事全体の合計金額を用います。

石綿がなければ、報告しなくてよい?

ここも間違えやすいところです。

報告対象となる規模の工事であれば、 事前調査の結果、 「石綿なし」と判断された場合でも報告が必要です。

報告対象となる規模の工事
↓
石綿あり
でも
石綿なし
↓
どちらも事前調査結果を報告

報告するのは 「石綿があった工事」ではなく、 一定規模以上の工事について行った事前調査の結果 です。

具体例で見てみる

建築物の工事を例にすると、 違いが分かりやすくなります。

工事の例 事前調査 結果報告
建築物を60㎡解体する 必要 不要
建築物を100㎡解体する 必要 必要
請負金額70万円(税込)の建築物改修工事 必要 不要
請負金額120万円(税込)の建築物改修工事 必要 必要

こうして見ると、 報告基準に届かない小規模工事でも、 事前調査の対象であれば調査は必要 であることが分かります。

「改修工事」は大がかりなリフォームだけではない

「改修」と聞くと、 建物全体を大きくリフォームする工事を イメージするかもしれません。

しかし、石綿の事前調査でいう建築物の改修工事には、 模様替えや修繕だけでなく、 既存の材料に変更を加える工事が含まれます。

例えば、 既存の躯体や仕上げ材について 除去、切断、破砕、研磨、穴あけ などを伴う工事も対象になります。

また、 電気、給排水、換気、冷暖房などの 建築設備の設置・修理・撤去に伴って 既存材料へ変更を加える場合も含まれます。

「小さな修理だから事前調査とは関係ない」 とは限りません。

工事の名称や規模だけではなく、 既存の建築材料にどのような作業を行うのかを確認します。

工作物では「事前調査」と「報告対象」の範囲にも注意

工作物についても、 解体・改修工事では事前調査の対象となる場合があります。

ただし、 100万円以上ならすべての工作物が 事前調査結果の報告対象になるわけではありません。

報告対象となるのは、 石綿が使用されているおそれが高いものとして 定められた特定の工作物です。

例えば、次のような工作物があります。 対象範囲には除外条件等もあるため、 実際の判定では厚生労働省の最新一覧を確認します。

反応槽・加熱炉 ボイラー・圧力容器
配管設備 焼却設備
貯蔵設備 発電・変電・配電・送電設備
煙突 トンネルの天井板・遮音壁等

したがって、 工作物では 「事前調査の対象か」と 「結果報告の対象となる特定工作物か」 も分けて確認します。

2026年1月から工作物の事前調査者にも資格要件

令和8年(2026年)1月1日以降着工の工事から、 工作物についても、 対象となる工作物や作業に応じた有資格者による 事前調査が必要になっています。

報告はどこへする?

報告対象となる工事では、 工事の着工前に、 事前調査の結果を 労働基準監督署と都道府県等へ報告します。

「石綿事前調査結果報告システム」を利用すると、 パソコンやスマートフォンから 両方へ報告することができます。

▶ 石綿事前調査結果報告システムについて確認する

報告対象でなくても、調査結果は残す

報告基準より小さい工事だからといって、 事前調査を行った記録が不要になるわけではありません。

事前調査の結果については、 記録を作成して3年間保存するとともに、 作業場所に備え付け、 概要を労働者に見やすい箇所へ掲示する必要があります。

事前調査を行う
↓
結果を記録する
↓
現場で備付け・概要を掲示
↓
記録を3年間保存

工事前に確認してみる

解体・改修工事を行うことになったら、 最初から「報告対象かどうか」だけを見るのではなく、 次の順番で確認してみます。

確認してみること 確認
解体・改修する部分について事前調査が必要か確認した □
建築物の解体の場合、 解体部分の床面積を確認した □
建築物の改修の場合、 税込の請負金額を確認した □
工作物の場合、 事前調査結果の報告対象となる工作物か確認した □
報告対象であれば、 石綿の有無にかかわらず結果を報告することを確認した □
報告対象でなくても、 事前調査結果の記録・備付け・掲示を行うことを確認した □

「報告が必要か?」を考える前に、 まず「事前調査が必要な工事か?」を確認する。

そして事前調査を行ったあとに、 工事の種類や規模を確認して、 その結果を行政へ報告する必要があるか を判断します。

講習テキストでも確認できます

当協会の 「石綿取扱い作業従事者特別教育」テキストでは、 事前調査の方法と、 事前調査結果の報告対象となる工事について解説しています。

▶ 事前調査の方法を見る

▶ 事前調査結果の報告対象を見る

▶ 石綿障害予防規則「事前調査・結果報告」を見る

厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトでも、 事前調査と結果報告の違いや、 報告対象となる工事を確認できます。

▶ 小規模工事等の着工前に必要な手続きを見る

▶ 石綿事前調査結果報告システムについて見る


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