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石綿データベースに載っていなければ「石綿なし」?

建築物の解体や改修工事の前に、 使用されている建材を 「石綿(アスベスト)含有建材データベース」で 検索することがあります。

では、 検索しても出てこなかった建材は、 「石綿なし」と判断してよいのでしょうか。

答えは、そうではありません。

石綿含有建材データベースは、 事前調査で使用する重要な資料の一つですが、 データベースに掲載されていないことだけを理由に 「石綿なし」と判断することはできません。

ここでは、当協会の 「石綿取扱い作業従事者特別教育」テキストと 公的資料を見ながら、 データベースを事前調査でどのように使うのかを確認してみます。

石綿含有建材データベースとは?

「石綿(アスベスト)含有建材データベース」は、 過去に製造された建材について、 メーカー名、商品名、製造時期、 石綿の種類や含有率などの情報を検索できるデータベースです。

建物の図面や現地の建材から メーカー名や商品名、製品番号などを確認できれば、 それらを手掛かりに検索できます。

▶ 石綿(アスベスト)含有建材データベースを開く

データベースは「判断材料の一つ」

検索結果だけで事前調査が完了するわけではありません。
設計図書等の確認や現地での目視調査と組み合わせて、 実際に使用されている建材を確認します。

まずは、書面と現地で建材を確認する

事前調査では原則として、 書面調査と 現地での目視調査を行います。

書面調査では、 設計図書、施工記録、維持保全記録などから、 建築物等の着工時期や 使用されている建材を確認します。

現地では、 設計図書と実際の建物に違いがないかを確認するとともに、 建材に表示されている メーカー名、商品名、製品番号など を確認します。

設計図書・施工記録などを確認
↓
現地で実際の建材を確認
↓
製品名・製品番号等を特定
↓
データベースやメーカー資料等と照合

検索して出てこなかったら「石綿なし」?

ここが今回のポイントです。

石綿含有建材データベースには、 可能な限り多くの建材情報が収録されていますが、 すべての石綿含有建材が網羅されているわけではありません。

データベース自身も、 廃業したメーカーの製品や、 記録が十分に残っていない製品などについては、 情報の整備が完全ではなく、 実際に存在する石綿含有建材を検索できない場合がある としています。

データベースで検索
↓
該当する建材が出てこない
↓
「石綿なし」とは判断できない
「検索結果なし」=「石綿なし」ではありません。

データベースに載っていないことは、 石綿が含まれていないことの証明にはなりません。

反対に、検索結果が出たら?

検索結果が出た場合にも、 その内容をよく確認する必要があります。

石綿含有建材データベースには、 メーカー等によって石綿含有が確認された建材 のほか、 記録不足などの理由により 石綿含有の可能性がある建材 も登録されています。

石綿含有の可能性がある建材については、 データベース上で「*」が付けられています。

検索結果 見るポイント
石綿含有が確認された建材 メーカー名、商品名、製造時期などが 現地の建材と一致しているか確認する
「*」が付いた建材 石綿含有が確定しているのではなく、 含有の可能性がある建材として扱われていることを確認する
検索結果なし 検索結果だけを根拠に 「石綿なし」と判断しない

では、何を根拠に「石綿なし」と判断する?

事前調査では、 石綿が使用されていないと判断する場合にも 客観的な根拠が必要です。

例えば、 調査対象となる製品を特定したうえで、 メーカーが公表している 石綿の使用の有無に関する証明や成分情報などと 照合する方法があります。

また、調査対象となる製品を特定し、 その製造年月日が平成18年(2006年)9月1日以降 であることを確認する方法もあります。

ただし、一部のガスケットやグランドパッキンには 石綿使用禁止の猶予期間が設けられていたため、 工作物等では製品や設備の種類に応じて 別の日付を確認する必要があります。

判断材料 確認すること
メーカーの証明・成分情報 調査対象の製品を特定し、 メーカー資料と照合する
製造年月日等 原則として、 平成18年(2006年)9月1日以降に製造された製品であることを確認する。
ただし、一部の製品には別の確認時期があるため注意する
分析調査 書面・目視等で石綿含有の有無が明らかにならない場合に 分析によって確認する
「石綿なし」には判断根拠が必要

石綿障害予防規則では、 事前調査の記録に、 材料ごとの石綿使用の有無だけでなく、 石綿が使用されていないと判断した材料については、 その判断の根拠も記録することとされています。

分からなければどうする?

書面調査や現地での目視調査を行っても、 石綿含有の有無が明らかにならない場合があります。

その場合は原則として、 分析調査を行います。

ただし、 石綿が含まれているものとして扱い、 法令で必要な措置を講じる 「みなし」とする場合は、 分析調査を省略することができます。

書面調査・目視調査
↓
石綿含有の有無が分からない
↓
分析調査を行う
または
石綿含有とみなす

「よく分からないから石綿なし」 という判断にはなりません。

分からなければ、 分析するか、石綿含有として扱う。

ここが事前調査の重要なポイントです。

事前調査はデータベース検索だけでは終わらない

データベースはとても便利ですが、 あくまで事前調査で使用する資料の一つです。

実際の事前調査では、 対象となる建築材料について 書面と現地を確認し、 さまざまな情報を組み合わせて判断します。

確認してみること 確認
設計図書、施工記録等を確認した □
現地で実際に使用されている建材を確認した □
メーカー名、商品名、製品番号等を確認した □
データベースだけでなく、 メーカー資料等も確認した □
「検索結果なし」だけを根拠に 石綿なしと判断していない □
石綿なしと判断した場合、 その判断根拠を確認・記録している □
含有の有無が明らかにならない場合、 分析または「みなし」の扱いを検討した □

データベースは 「石綿がないことを証明する検索機能」ではありません。

検索結果と、 書面、現地の状況、メーカー情報などを 一つずつ照らし合わせながら、 「なぜ石綿あり/なしと判断したのか」まで確認する ことが重要です。

事前調査を行う人にも要件があります

建築物の解体・改修工事では、 令和5年(2023年)10月1日以降着工の工事から、 原則として 建築物石綿含有建材調査者等による 事前調査が必要です。

また、令和8年(2026年)1月1日以降着工の工事からは、 工作物についても、 対象となる工作物や作業に応じた有資格者による 事前調査が必要になっています。

データベースを検索できることと、 法令上の事前調査を行えることは別です。

このページは、 データベースの使い方と判断の考え方を理解するためのものです。
実際の事前調査は、対象となる工事や建築物・工作物に応じて、 必要な要件を満たす者が行います。

講習テキストでも確認できます

当協会の 「石綿取扱い作業従事者特別教育」テキストでは、 事前調査の流れ、 書面調査・目視調査、 石綿含有建材データベースとの照合、 分析調査や「みなし」の考え方について解説しています。

▶ 事前調査の方法を見る

▶ 石綿障害予防規則「事前調査・分析調査」を見る

厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトでは、 事前調査の方法や資格制度、 各種資料を確認できます。

▶ 石綿総合情報ポータルサイト「事前調査」を見る

▶ 石綿(アスベスト)含有建材データベースを開く


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